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和文様の研究家として、日本図案家協会理事の故水野惠司氏とともに『和のお守り文様366日』『開運! 日本の伝統文様』など、文様に関するさまざまな本を著されている藤依里子さん。今回は、GUEST&MEを贈るとき、自宅でゲストを迎えるとき、どのような和文様を選んだらよいか、どのように包んだらよいかのアドバイスをいただきました。また和文様とGUEST&MEを通じて、おもてなしの心についても詳しく語っていただきます。
——藤さんは、和文様の研究家として、何冊も本を出されていますが、そもそも和文様に興味を持たれたきっかけを教えてください。
父が舞台監督だったので、幼い頃から舞台やバレエなどにふれて育つ中で、衣装の美しさに興味を持つようになりました。また、私自身も日本舞踊や茶道の習い事をしていましたので和の文化に触れる機会も多くありました。その頃は、たとえば丹後縮緬を見て「きれいだなぁ」と感じる程度でしたが、たまたま、日本図案家協会理事の水野惠司さんという京都の絵師さんと知り合いまして、そこから和文様の研究がスタートしたんです。水野さんの絵に惚れ込んで、どうしても彼の絵に言葉を添えて、本を出したいと思いました。そこで文様の本ならば一緒に仕事ができるのではないかと思い、文様の研究をスタートしたのです。「文様にはそれぞれ意味がある」ということを水野さんから教わり「では、どんな意味があるのだろう」と調べていくうちに、どんどんと文様の世界の奥深さにはまっていきました。水野さんとは一緒に3冊の本を出版し、それを書くのに、いろいろな文様を調べましたが、それでもまだ知らない文様があるぐらいとても奥の深い世界なんです。GUEST&MEのフレグランスバーに描かれている模様も、雷文や升文などの文様と似ていますね。升文は「益々」「増す」とかけていて、「ますます繁栄する」という意味が込められています。紐文や結び目文にも似ていますね。
——今回は、GUEST&MEをいろいろな和文様の描かれた小風呂敷や手ぬぐいで包んできてくださったそうですね。それぞれ解説していただいてもよろしいですか?
まず、インテリアとしてGUEST&MEをお部屋に飾るのに、和文様の入った布で包んでみました。トンボは勝虫と言われるので、トンボ文で包んだものは、受験生の部屋に飾るのにいいかもしれないですね。また、ゲストを迎えるときに、お客様の中に小さなお子様がいらっしゃる場合は、万が一、口に入れてしまうといけないので、籠のような形にフレグランスバーを包んで吊るしておくと、安全ですし、目で見てもかわいいですよね。
どこかに吊るしたり、引っ掛けたりできる包み方をしておくと、ベッドの端などに掛けることができますので、入院されている方のお見舞いにもいいと思います。病院は独特のにおいがしますから、ベッドサイドによい香りのするGUEST&MEのフレグランスバーをさりげなく掛けておくと、入院されている方の気持ちも明るくなるのではないでしょうか。そういった場合の文様は、「永遠の命」を表す唐草文(写真右下)などの布を選ぶといいですね。
また、GUEST&MEを贈るときにも、和文様の入った小風呂敷や手ぬぐいで包んであげると、かわいくておしゃれな贈答品になるのではないでしょうか。風呂敷の場合は、マナーとしてお客様にお渡しする前に風呂敷包みをはずしますが、小風呂敷の場合は、おしゃれなラッピングとしてそのままお渡しすることができます。たとえば麻の葉文には「お子様の成長を祈る」という意味がありますので、小さなお子様のいるご家庭への贈答品にいいのではないかと思います。そのように、渡す相手や包むものの香りに、色や文様を合わせてあげたりするといいですね。たとえば、グリーン系の香りであれば緑色の布で包んだり、フラワー系の香りのものであれば花の文で包んだりするとよいと思います。お中元やお歳暮をきちんとした形で贈るほどの間柄までいかなくても、ちょっとおすそ分けをしたい、ちょっとしたお礼の気持ちを表したいというときに、石けんなど小さなものをむき出しでお渡しするよりも、おしゃれな小風呂敷で包んであげるとより気持ちが伝わるのではないでしょうか。
また、日本手ぬぐいや小風呂敷で、簡単にブックカバーを作ることもできるんです。その場合はリネンウォーターで香りをつけておくとよいですね。
——文様にもいろいろな意味のものがあると思いますが、贈るシチュエーションに合った文様の選び方を教えてください。
たとえば受験を控えている、これから新規事業を立ち上げようとしている、といった方に贈るときは、やはり勝虫文をおすすめしますね。トンボが勝虫と言われるのは、いろいろな由来があるようですが、幼虫であるヤゴが甲冑に似ているところから勝虫と言われるようです。蝶文(写真右の左側)は女の子向けかもしれませんが、幼虫からサナギ、サナギから蝶へと成長していくので、とても縁起のよい文様です。敬老の日に年配の方に贈るときには、長生きしてねという思いを込めて、鹿文がいいですね。それから月兎文もお勧めです。これは、兎は月で長寿の薬を作っているという言い伝えがあるので、長生きしてほしいという気持ちを込めることができるからです。
出産のお祝いには麻の葉文(写真左)や千鳥文(写真上の右側)がいいと思います。千鳥は家族の象徴、麻の葉というのは、まっすぐ元気に伸びる植物なので昔から産着にも使われていた柄です。早く伸びる、元気に育つ、まっすぐ育つという意味合いがあります。また、出産前後は感情が苛立ったり落ち込んだりするときもあるので、出産のお祝いというよりも、その前のマタニティー・ブルーに陥りやすい段階で、フレグランスバーを包んで持って行って差し上げると、香りで気分も明るくなっていいのではないでしょうか。日本では、出産してからお祝いを贈ることが多いのですが、おめでたの段階で、フレグランスバーを小風呂敷で包んでさりげなくプレゼントすると仰々しくなく贈られた方も気軽に受け取れるのではないかと思います。
結婚祝いには、亀甲文(写真右)や鴛(おしどり)文がよいですね。勝負運を上げたいときには、毛卍文(けまんもん)(別名:獅子毛文)がいいと思います。これはライオンのたてがみが文様になったものです。獅子はいろいろな文様になっていますね。魔よけにもなります。
——ゲストの方をおもてなしするにはこの文様がふさわしいのではないか、といったアドバイスがあれば教えてください。
季節に合った文様を選ぶのもいいと思いますし、夏であれば逆に雪輪文(写真左)のように涼しげな文様を選ぶのもいいと思います。おもてなしというのは相手に対する気持ちですから、相手の方のことを理解した上で、その人に合った文様を選んであげるのがいいと思います。たとえばゲストの方が、悩んでいるとき、何かに向かって頑張っているとき、言葉で表現するのではなく、「頑張って」の気持ちを文様でさりげなく表現するというのがよいのではないでしょうか。年配の方を迎えるときは、その方が懐かしいと感じる文様で演出してあげるといいかもしれませんね。
こういったシチュエーションにはこの文様を合わせる、といった型にはまったものではなく、相手の方の気持ちを考えてあげるのが一番大切なことだと思います。ゲストがどういったものが好きか考えて選ぶというのが、もてなす側の意識として必要ですね。猫が好きなゲストであれば、猫文を選んであげる……そうすれば、そこから会話もよりはずんでいくのではないでしょうか。 香りにしてもそうですよね。相手の方の好み、そのときの気持ちに合わせた香りでおもてなしをしないと、逆効果にもなりかねません。また、文様だけがすべてではなく、布にも意味があります。今回、使用した布は手ぬぐいや小風呂敷といった比較的手ごろな値段で手に入るもので、気軽なおもてなし向けですが、これが西陣だったり、縮緬だったりすると、高級感が出てきます。
——なるほど、確かに相手の方に合わせるということは大事ですよね。香りについて日本では、この人だからこの香を使う、自分のためにふさわしい香りを調香するという古い歴史があると思いますが、やはりその伝統を大切にしたほうがよいということでしょうか。
でも、最近は忘れられてきていますよね。特に、海外からアロマセラピーが入って来てからは、マニュアルにのっとって、気分が落ち込んでいたらこの香り、リラックスするにはこの香りというように、人よりもシチュエーション重視で選ばれがちですが、やはり香りも相手の方に合わせて選ぶのがおもてなしですよね。自宅にゲストを迎えるときは、ゲストとお話をするためにお呼びするわけですから、相手の方のそのときの気持ちや好みに合った香りや文様でおもてなしするのが一番いいのではないでしょうか。
——ここまでおもに贈る相手、ゲストに対してのおもてなしについてのお話を伺ってきましたが、藤さんご自身はGUEST&MEを使ってみて、いかがでしたか?
自分をもてなすために使わせていただきましたが、落ち込んでいるときでもすごく明るい気分になりました。気持ちの持ちようが香りによって大きく変わりますから、イライラしたときにも本当にいいですね。リネンウォーターをブックカバーに吹きかけたり、浴衣に吹きかけたりして使いました。また寝る前にはもちろん、布団を干した後にも吹きかけています。香りがやさしいから、すごく使いやすいですよね。それに、エッセンシャルオイルはシミになってしまうので、直接、布には使えないし、香りもかなり強いんですよね。リネンウォーターはシミになることもないですし、たくさん使っても香りが強すぎることもないので、思う存分使えるところが気に入っています。
——今回は、たくさんのおもてなしのヒントを教えてくださってどうもありがとうございました。最後に、藤さんご自身の今後の展望について教えてください。
まだ文様集めの最中なので、もっといろいろと探してみたいと思っています。神社にある独特の文様を神紋というのですが、ここ最近は神紋集めに歩いています。また、これまで一緒に文様の研究をしてきた水野氏が亡くなってしまったので、遺志を継いで彼の思いを世に伝えていかないと、と思っています。今の若い世代の人にも和文様を知ってもらい、もっと楽しんでもらいたいと思っています。また、香りと文様の結びつきについても、これからさらに深く研究できたらと思っています。

プロフィール
藤 依里子(フジエリコ)和の文様研究家。社団法人日本図案家協会、準会員。主な著書に「恋する和文様(きこ書房)」「開運 和のお守り文様366日(PHP)」「開運 日本の伝統文様(日本実業出版社)」等。





